制度とお金 ・ 時期 4:家に戻って
「180日の壁」のあと、リハビリはどうなるのか医療保険のリハビリが減る理由と、その先の選択肢
脳卒中のリハビリは、医療保険では発症から180日が一つの区切りです。「180日を過ぎたらリハビリは終わり」と言われることもあります。でも、リハビリそのものが終わるわけではありません。受ける場所と、お金の出どころが変わります。この記事では、その仕組みと、選べる道を書きます。
- 最終確認日
- 2026年10月13日
- 対象
- 令和8年度診療報酬改定のあと
- 一次情報
- 診療報酬の告示 ほか
→最初に、結論を書きます
- 医療保険の脳卒中のリハビリには、発症から180日という標準の日数があります。
- 180日を過ぎても、改善が見込めると医師が判断すれば、医療保険で続けられます。失語症や高次脳機能障害がある人も対象です。
- それ以外の人は、医療保険では月13単位(1単位20分。週1回1時間ほど)までに減ります。
- 要介護認定を受けている人は、外来の場合、180日を過ぎると医療保険ではなく、介護保険のリハビリ(デイケア・訪問リハビリ)に移ります。
- ほかに、障害福祉の機能訓練、保険の効かない自費のリハビリ、自主トレーニングがあります。
短い版では、結論・自分の場合・注意・チェックリストだけを表示します。
1. 「180日の壁」とは
病院で受けるリハビリの費用は、診療報酬という国の決まりで定められています。脳卒中のリハビリ(脳血管疾患等リハビリテーション料)には、発症の日から180日という「標準的算定日数」があります。
この日数を過ぎると、医療保険で受けられるリハビリの量が減るか、介護保険に移ることになります。これが「180日の壁」と呼ばれるものです。
国の考え方は、発症からしばらくの回復を目指す時期は医療保険で、そのあとの生活の中で機能を保つ時期は介護保険で、という役割分担です。
!注意:「180日でリハビリは終わり」ではありません
180日は、医療保険のリハビリの区切りです。リハビリを続けてはいけない、という意味ではありません。回復は180日を過ぎても続く人がいます。受ける場所と方法を選び直す時期だと考えてください。
2. 180日を過ぎても、医療保険で続けられる場合
国が定めた「除外対象」に当たる人は、180日を過ぎても、医療保険のリハビリをそれまでと同じように続けられます。脳卒中に関係するのは、たとえば次の人です。
- 失語症、失認、失行のある人
- 高次脳機能障害のある人
- 回復期リハビリテーション病棟に入院している人
- そのほか、治療を続けることで状態の改善が見込めると、医師が判断した人
最後の「医師の判断」は、脳卒中のどんな障害でも対象になりえます。改善が続いていることを、主治医やリハビリの担当者に記録してもらうことが大切です。
構音障害は、失語症とは別の障害です。構音障害だけの場合は、「医師の判断」の枠で続けられるかを相談してください。
除外対象に当たらない場合
| 人 | 医療保険で受けられるリハビリ |
|---|---|
| 要介護認定を受けていない人 | 月13単位まで(1単位は20分) |
| 要介護認定を受けていて、入院中の人 | 月13単位まで |
| 要介護認定を受けていて、外来の人 | 医療保険では受けられない。介護保険のリハビリに移る |
要介護・要支援の認定を受けた人の外来リハビリは、2019年4月から、180日を過ぎたら介護保険で受ける決まりになっています。
3. 自分の場合を調べる
180日を過ぎたあとの道(めやす)
上の3つを選んでください。
めやすです。実際に受けられるかは、主治医と病院、ケアマネジャーに確認してください。
4. 介護保険のリハビリ
要介護・要支援の認定を受けている人は、介護保険でリハビリを受けられます。40〜64歳でも、脳卒中なら介護保険を使えます(40〜64歳でも、介護保険は使える)。
- 通所リハビリテーション(デイケア):病院や老人保健施設に通って、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のリハビリを受けます。
- 訪問リハビリテーション:療法士が家に来ます。家の中での動作を、実際の環境で練習できます。
- 訪問看護の中で、療法士がリハビリをすることもあります。
退院や認定から3か月以内は、短い期間に集中してリハビリを受けられる仕組み(短期集中リハビリテーション)があります。医療保険から移るときに、使えるか確認してください。
!注意:介護保険のリハビリは、量に限りがあります
介護保険のリハビリは、1か月に使える上限(区分支給限度基準額)の中で、訪問介護や福祉用具と枠を分け合います。病院のリハビリと比べて、1回の時間や回数が少なくなることがよくあります。言語聴覚士がいる事業所も限られるので、話すことのリハビリを続けたい人は、事業所を選ぶときに確認してください。
5. 障害福祉の機能訓練
障害者総合支援法の自立訓練(機能訓練)は、身体に障害のある人が、自立した生活を目指して、決まった期間(原則1年6か月)リハビリや生活の訓練を受けるサービスです。
- 通う形と、家に来てもらう形があります。
- 介護保険に同じサービスがないので、介護保険の人でも使えることがあります。
- 仕事や社会に戻ることを目指す人に向いています。就労移行支援などにつなぐこともできます。
申請先は、市区町村の障害福祉の窓口です。障害者手帳があると手続きが進めやすくなります(障害者手帳と障害年金、申請の時期)。事業所の数は地域で差があります。
6. 自費のリハビリと、自主トレーニング
自費(保険外)のリハビリ
保険を使わないリハビリ施設が増えています。日数や回数の制限がなく、1回の時間を長く取れます。そのかわり、費用は全額が自己負担で、1回60分で1万円前後のところが多くあります。
重度の人は、車椅子のまま受けられるか、介助や吸引に対応できるかを、事前に確認してください。このサイトの「自費リハビリを比べる」で、施設ごとの対応を比べられます。
医療保険の外来リハビリと、同じ病気の自費のリハビリを、同じ医療機関で同時に受けることには制限があります。医療機関で受けるときは確認してください。
自主トレーニング
どの道を選んでも、家での自主トレーニングは続けられます。退院のときに、担当の療法士から自主トレーニングの内容を紙でもらっておいてください。このサイトでは、療法士などが公開している動画を、状態で探せるようにする予定です。
書き手より
「リハビリが減る」と、いつ、誰から聞いたのかは、覚えていない。ただ、入院中からずっと、「退院したら、本格的なリハビリはほとんど受けられない」と聞いていた。だから、覚悟はしていた。
いまは、デイケアに週2回通い、訪問リハビリも受けている。それに加えて、自費リハビリを2か所(上肢の訪問を週1回、言語のオンラインを月1回)。そして、自主トレーニングを毎日3時間ほど続けている。
くわしくは、手記「退院後のリハビリの現実」、「自主トレーニング」、「自費リハビリという選択」に書いています。
7. 確認しておくこと(チェックリスト)
チェックは、この端末の中だけに残ります。印刷して病院やケアマネジャーとの相談に持っていくこともできます。
!注意:このページは医療上の助言をしません
この記事は制度の説明です。どのリハビリを、どれだけ受けるとよいかは、主治医と担当の療法士が判断します。必ずその人たちに確認してください。診療報酬の決まりは2年ごとに改定されます。確認印の日付と下の一次情報もあわせて確認してください。
出典(一次情報)
最終確認日 2026年10月13日
- 令和8年度診療報酬点数表「H001 脳血管疾患等リハビリテーション料」(注1 180日、注6・注7 月13単位)しろぼんねっと掲載
https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r08_ika/r08i_ch2/r08i2_pa7/r08i27_sec1/r08i271_H001.html - 厚生労働省告示「特掲診療料の施設基準等」別表第九の八(算定日数上限の除外対象患者)PT-OT-ST.NET掲載
https://www.pt-ot-st.net/contents4/medical-treatment-reiwa-8/?p=611 - 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html - 障害者総合支援法(自立訓練)e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123