制度とお金 ・ 時期 2:回復期
障害者手帳と障害年金、申請の時期2つは別の制度。いつ、どこに、何を出すか
脳卒中で障害が残ると、障害者手帳と障害年金の2つを考えることになります。名前は似ていますが、別々の制度で、申請できる時期も違います。この記事では、発症からの時間の順に、いつ何をするかを書きます。
- 最終確認日
- 2026年10月13日
- 年金額
- 令和8年4月分から
- 一次情報
- 日本年金機構・厚生労働省 ほか
→最初に、結論を書きます
- 障害者手帳と障害年金は、別々の制度です。申請先も、基準も、等級も違います。両方とも、それぞれ申請が要ります。
- 手帳は、脳卒中の場合、発症からおおむね6か月がめやすです。
- 障害年金は、原則として初診日から1年6か月たってから請求します。麻痺が残った場合は、6か月たった時点で請求できることがあります。
- どちらも医師の診断書が要ります。回復期の病院にいるうちに、主治医に「いつ書けるか」を聞いてください。
- 初診日(最初に病院にかかった日)と、その病院の名前を記録しておいてください。年金の手続きのすべての起点になります。
短い版では、結論・時間の流れ・注意・チェックリストだけを表示します。
1. 発症からの時間で見る
- 発症の日年金最初に病院にかかった日が「初診日」です。救急で運ばれた日が初診日になることが多いです。病院の名前と日付を記録してください。
- 入院中年金年金の保険料を払っていたかを確認します。手帳年金主治医に、診断書をいつ書けるか聞いておきます。
- おおむね
6か月手帳障害が固定したと判断できれば、手帳を申請できます。年金医学的にこれ以上の回復がほとんど望めないと認められれば、障害年金を請求できることがあります(特例)。 - 1年6か月年金原則の「障害認定日」です。この日の状態で、障害年金を請求します。会社員の傷病手当金も、最長でこのころに終わります。
- 65歳の
誕生日の前々日年金あとから障害が重くなって請求する場合(事後重症)の期限です。
手帳の時期は、市区町村と医師の判断によって前後します。
2. 2つの違い
| 身体障害者手帳 | 障害年金 | |
|---|---|---|
| 何が受けられるか | 税の控除、医療費の助成、交通の割引、福祉サービスなど。お金は直接出ません | お金(年金)。税金はかかりません |
| 等級 | 1〜6級 | 障害基礎年金は1〜2級 障害厚生年金は1〜3級 |
| 申請先 | 市区町村の障害福祉の窓口 | 年金事務所(初診日に国民年金だった人は、市区町村でも可) |
| 診断書 | 指定医が書いたもの | 医師が書いたもの(指定医でなくてよい) |
| 時期のめやす | 発症からおおむね6か月 | 初診日から1年6か月(特例で6か月) |
手帳の等級と年金の等級は、基準が違うので一致しません。手帳がなくても、障害年金は請求できます。
3. 障害者手帳
脳卒中で対象になる障害
- 肢体不自由:手足や体幹の麻痺、失調
- 音声・言語機能障害:構音障害、失語症(3級か4級)
- 見え方の障害(視野が欠けるなど)は、視覚障害として
障害が複数あると、合わせて等級が決まります。たとえば麻痺と構音障害があれば、両方の診断書を出します。
記憶や注意の障害(高次脳機能障害)は、身体障害者手帳ではなく精神障害者保健福祉手帳の対象です。こちらは初診日から6か月たつと申請できます。
いつ申請できるか
脳卒中の障害は、発症からしばらく回復していきます。そのため、障害の程度が固まったと判断できる時期を待ちます。多くの自治体では、発症からおおむね6か月がめやすです。
状態が非常に重く、早く在宅の準備が要る場合は、それより早く認められることもあります。
申請のしかた
- 市区町村の窓口で、診断書の用紙と、近くの指定医を確認する
- 指定医に診断書を書いてもらう(診断書料は自己負担)
- 申請書、診断書、写真を市区町村に出す
- 審査のあと、手帳が届く(1〜2か月ほど)
回復期の病院に指定医がいることも多いので、まず病院の相談室に聞くのが近道です。
手帳で受けられること
- 所得税・住民税の障害者控除(1・2級は特別障害者)
- 医療費の助成(重度の人。内容は自治体ごとに違います)
- 鉄道・バス・タクシー・航空の割引、自動車税の減免
- 障害福祉サービス、障害者雇用の枠での就職
40〜64歳の人は、介護保険と障害福祉サービスの関係にも注意が要ります(40〜64歳でも、介護保険は使える)。
4. 障害年金
受け取れる条件
- 初診日に、国民年金か厚生年金に入っていた
- 保険料を払っていた:初診日の前々月までの期間の3分の2以上を払っている(免除を含む)。または、初診日が令和18年3月末までで65歳未満なら、初診日の前々月までの1年間に未納がない
- 障害認定日に、決まった等級の状態にある
初診日に会社員などで厚生年金に入っていた人は、障害基礎年金と障害厚生年金の2階建てになります。障害厚生年金には3級もあります。
脳卒中の「6か月の特例」
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月たった日です。ただし、脳血管障害で機能障害が残った場合は、初診日から6か月たった日以後に、医学的にそれ以上の回復がほとんど望めないと認められれば、その日が障害認定日になります。
この判断は医師の診断書によります。早く請求できれば、そのぶん早く年金を受け取れます。主治医に、この特例が当てはまるか相談してください。
2つの請求のしかた
- 障害認定日による請求:障害認定日の状態で請求します。認定日の翌月分から受け取れます。遅れて請求しても、さかのぼれるのは5年分までです。
- 事後重症による請求:認定日には等級に当たらなかったが、あとで重くなった場合です。請求した翌月分からになります。65歳の誕生日の前々日までに請求します。
いくら受け取れるか
| 等級 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金(2階部分) |
|---|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 | 報酬比例の年金額 × 1.25 |
| 2級 | 847,300円 | 報酬比例の年金額 |
| 3級 | なし | 報酬比例の年金額(最低 635,500円) |
子どもや配偶者がいる場合は、加算があります。報酬比例の部分は、それまでの給与と加入期間で決まります。
!注意:傷病手当金を受けている人は、調整があります
同じ病気で障害厚生年金が決まると、傷病手当金は差額だけになり、さかのぼって返金を求められることがあります。それでも障害年金の請求は進めてください。傷病手当金は1年6か月で終わりますが、障害年金はその後の生活の土台になります(傷病手当金を確認する)。
働いて収入を得ても、障害年金は原則として止まりません(20歳前に初診日がある人を除く)。詳しくは障害年金をもらいながら働けるのかに書きました。
5. 入院中にやっておくこと
手帳も年金も、申請できるのは数か月先です。でも、準備は入院中から始められます。
- 初診日を記録する:救急で運ばれた病院の名前と日付。転院したら、それぞれの病院と期間も
- 保険料の納付状況を確認する:年金事務所か「ねんきんネット」で確認できます
- 主治医に聞く:手帳と年金の診断書を、いつ書けるか。6か月の特例が当てはまりそうか
- 病院の相談室に相談する:指定医がいるか、手続きを手伝ってもらえるか
- 日常生活の困りごとを書き留める:できないこと、介助が要る場面。診断書を書く医師に伝える材料になります
障害年金の請求は書類が多く、時間もかかります。体力に不安があるときは、社会保険労務士(障害年金を扱う人)に頼むこともできます。費用は、事務所ごとに確認してください。
書き手より
障害者手帳を申請したのは、2025年9月。発症から半年を過ぎたころだ。等級は2級で、肢体不自由で認められた。
障害年金を請求したのは、2026年8月だ。もともと知り合いだった社会保険労務士の方にお願いして、請求を行った。
いまは審査中で、障害年金の等級は、まだ決まっていない。
6. 確認しておくこと(チェックリスト)
チェックは、この端末の中だけに残ります。印刷して病院や窓口に持っていくこともできます。
!注意:このページは医療上の助言をしません
この記事は制度の説明です。障害が固定したかどうか、いつ診断書を書けるかは、主治医が判断します。手帳の等級は市区町村(都道府県)が、年金の等級は日本年金機構が決めます。個別の判断は、市区町村の窓口、年金事務所、社会保険労務士に確認してください。
出典(一次情報)
最終確認日 2026年10月13日
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html - 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150514.html - 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html - 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html - 山口県「身体障害者診断書・意見書の作成について」(脳血管障害の認定時期)
https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/205973.pdf - 身体障害者福祉法(第15条 身体障害者手帳)e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000283