制度とお金 ・ 時期 2:回復期

障害者手帳と障害年金、申請の時期2つは別の制度。いつ、どこに、何を出すか

脳卒中で障害が残ると、障害者手帳と障害年金の2つを考えることになります。名前は似ていますが、別々の制度で、申請できる時期も違います。この記事では、発症からの時間の順に、いつ何をするかを書きます。

全文 約12分短い版 約3分身体の障害(麻痺・言語)を中心に書いています

最終確認日
2026年10月13日
年金額
令和8年4月分から
一次情報
日本年金機構・厚生労働省 ほか

最初に、結論を書きます

  • 障害者手帳と障害年金は、別々の制度です。申請先も、基準も、等級も違います。両方とも、それぞれ申請が要ります。
  • 手帳は、脳卒中の場合、発症からおおむね6か月がめやすです。
  • 障害年金は、原則として初診日から1年6か月たってから請求します。麻痺が残った場合は、6か月たった時点で請求できることがあります。
  • どちらも医師の診断書が要ります。回復期の病院にいるうちに、主治医に「いつ書けるか」を聞いてください。
  • 初診日(最初に病院にかかった日)と、その病院の名前を記録しておいてください。年金の手続きのすべての起点になります。

短い版では、結論・時間の流れ・注意・チェックリストだけを表示します。

1. 発症からの時間で見る

  1. 発症の日年金最初に病院にかかった日が「初診日」です。救急で運ばれた日が初診日になることが多いです。病院の名前と日付を記録してください。
  2. 入院中年金年金の保険料を払っていたかを確認します。手帳年金主治医に、診断書をいつ書けるか聞いておきます。
  3. おおむね
    6か月
    手帳障害が固定したと判断できれば、手帳を申請できます。年金医学的にこれ以上の回復がほとんど望めないと認められれば、障害年金を請求できることがあります(特例)。
  4. 1年6か月年金原則の「障害認定日」です。この日の状態で、障害年金を請求します。会社員の傷病手当金も、最長でこのころに終わります。
  5. 65歳の
    誕生日の前々日
    年金あとから障害が重くなって請求する場合(事後重症)の期限です。

手帳の時期は、市区町村と医師の判断によって前後します。

2. 2つの違い

障害者手帳と障害年金
身体障害者手帳障害年金
何が受けられるか税の控除、医療費の助成、交通の割引、福祉サービスなど。お金は直接出ませんお金(年金)。税金はかかりません
等級1〜6級障害基礎年金は1〜2級
障害厚生年金は1〜3級
申請先市区町村の障害福祉の窓口年金事務所(初診日に国民年金だった人は、市区町村でも可)
診断書指定医が書いたもの医師が書いたもの(指定医でなくてよい)
時期のめやす発症からおおむね6か月初診日から1年6か月(特例で6か月)

手帳の等級と年金の等級は、基準が違うので一致しません。手帳がなくても、障害年金は請求できます。

3. 障害者手帳

脳卒中で対象になる障害

  • 肢体不自由:手足や体幹の麻痺、失調
  • 音声・言語機能障害:構音障害、失語症(3級か4級)
  • 見え方の障害(視野が欠けるなど)は、視覚障害として

障害が複数あると、合わせて等級が決まります。たとえば麻痺と構音障害があれば、両方の診断書を出します。

記憶や注意の障害(高次脳機能障害)は、身体障害者手帳ではなく精神障害者保健福祉手帳の対象です。こちらは初診日から6か月たつと申請できます。

いつ申請できるか

脳卒中の障害は、発症からしばらく回復していきます。そのため、障害の程度が固まったと判断できる時期を待ちます。多くの自治体では、発症からおおむね6か月がめやすです。

状態が非常に重く、早く在宅の準備が要る場合は、それより早く認められることもあります。

申請のしかた

  1. 市区町村の窓口で、診断書の用紙と、近くの指定医を確認する
  2. 指定医に診断書を書いてもらう(診断書料は自己負担)
  3. 申請書、診断書、写真を市区町村に出す
  4. 審査のあと、手帳が届く(1〜2か月ほど)

回復期の病院に指定医がいることも多いので、まず病院の相談室に聞くのが近道です。

手帳で受けられること

  • 所得税・住民税の障害者控除(1・2級は特別障害者)
  • 医療費の助成(重度の人。内容は自治体ごとに違います)
  • 鉄道・バス・タクシー・航空の割引、自動車税の減免
  • 障害福祉サービス、障害者雇用の枠での就職

40〜64歳の人は、介護保険と障害福祉サービスの関係にも注意が要ります(40〜64歳でも、介護保険は使える)。

4. 障害年金

受け取れる条件

  1. 初診日に、国民年金か厚生年金に入っていた
  2. 保険料を払っていた:初診日の前々月までの期間の3分の2以上を払っている(免除を含む)。または、初診日が令和18年3月末までで65歳未満なら、初診日の前々月までの1年間に未納がない
  3. 障害認定日に、決まった等級の状態にある

初診日に会社員などで厚生年金に入っていた人は、障害基礎年金と障害厚生年金の2階建てになります。障害厚生年金には3級もあります。

脳卒中の「6か月の特例」

障害認定日は、原則として初診日から1年6か月たった日です。ただし、脳血管障害で機能障害が残った場合は、初診日から6か月たった日以後に、医学的にそれ以上の回復がほとんど望めないと認められれば、その日が障害認定日になります。

この判断は医師の診断書によります。早く請求できれば、そのぶん早く年金を受け取れます。主治医に、この特例が当てはまるか相談してください。

2つの請求のしかた

  • 障害認定日による請求:障害認定日の状態で請求します。認定日の翌月分から受け取れます。遅れて請求しても、さかのぼれるのは5年分までです。
  • 事後重症による請求:認定日には等級に当たらなかったが、あとで重くなった場合です。請求した翌月分からになります。65歳の誕生日の前々日までに請求します。

いくら受け取れるか

障害年金の額(令和8年4月分から・昭和31年4月2日以後生まれ)
等級障害基礎年金障害厚生年金(2階部分)
1級1,059,125円報酬比例の年金額 × 1.25
2級847,300円報酬比例の年金額
3級なし報酬比例の年金額(最低 635,500円)

子どもや配偶者がいる場合は、加算があります。報酬比例の部分は、それまでの給与と加入期間で決まります。

注意:傷病手当金を受けている人は、調整があります

同じ病気で障害厚生年金が決まると、傷病手当金は差額だけになり、さかのぼって返金を求められることがあります。それでも障害年金の請求は進めてください。傷病手当金は1年6か月で終わりますが、障害年金はその後の生活の土台になります(傷病手当金を確認する)。

働いて収入を得ても、障害年金は原則として止まりません(20歳前に初診日がある人を除く)。詳しくは障害年金をもらいながら働けるのかに書きました。

5. 入院中にやっておくこと

手帳も年金も、申請できるのは数か月先です。でも、準備は入院中から始められます。

  • 初診日を記録する:救急で運ばれた病院の名前と日付。転院したら、それぞれの病院と期間も
  • 保険料の納付状況を確認する:年金事務所か「ねんきんネット」で確認できます
  • 主治医に聞く:手帳と年金の診断書を、いつ書けるか。6か月の特例が当てはまりそうか
  • 病院の相談室に相談する:指定医がいるか、手続きを手伝ってもらえるか
  • 日常生活の困りごとを書き留める:できないこと、介助が要る場面。診断書を書く医師に伝える材料になります

障害年金の請求は書類が多く、時間もかかります。体力に不安があるときは、社会保険労務士(障害年金を扱う人)に頼むこともできます。費用は、事務所ごとに確認してください。

書き手より

障害者手帳を申請したのは、2025年9月。発症から半年を過ぎたころだ。等級は2級で、肢体不自由で認められた。

障害年金を請求したのは、2026年8月だ。もともと知り合いだった社会保険労務士の方にお願いして、請求を行った。

いまは審査中で、障害年金の等級は、まだ決まっていない。

6. 確認しておくこと(チェックリスト)

チェックは、この端末の中だけに残ります。印刷して病院や窓口に持っていくこともできます。

注意:このページは医療上の助言をしません

この記事は制度の説明です。障害が固定したかどうか、いつ診断書を書けるかは、主治医が判断します。手帳の等級は市区町村(都道府県)が、年金の等級は日本年金機構が決めます。個別の判断は、市区町村の窓口、年金事務所、社会保険労務士に確認してください。

出典(一次情報)

最終確認日 2026年10月13日

  1. 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
    https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html
  2. 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
    https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150514.html
  3. 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
    https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html
  4. 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
    https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html
  5. 山口県「身体障害者診断書・意見書の作成について」(脳血管障害の認定時期)
    https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/205973.pdf
  6. 身体障害者福祉法(第15条 身体障害者手帳)e-Gov法令検索
    https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000283

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